はなきうスペース

作品舞台探訪や二次創作関連

『空の青さを知る人よ』は鏡だった(感想のようなもの)

『空の青さを知る人よ』は超平和バスターズ秩父三部作の集大成としてだけでなく、ひとつの映画として本当に素晴らしかった。自分にとって令和元年ベスト作品。

 以下ネタバレあり

 

 超平和バスターズ作品らしく登場人物達はそれぞれ抱えている想いがあり、それらが絡み合って物語を紡いでいく中で作品世界に入り込んでいく。
 そして登場人物達、殊に慎之介とあかねに入り込んだ時に気付くのだ。「ああ、この作品は自分の歩みと重なっている」と。多くのおじさんおばさんが同じ想いを抱いたに違いない(若い子はどうだろうね。それはちょっと気になります)。

 輝いていた何かへの憧れ。少年少女期の熱い想いは、やがて壁にぶつかってしまう(いやそんなの最初から分かってるしとか言うリアリストキッズはいないものとする)。
 日々を生きるために精一杯にあがく中で、夢はいつしか定かなものではなくなる。もちろん「なりたい自分」に向かって邁進し続け、それを叶える人はいるだろう。でもそうはならなかった人が圧倒的大多数ではないかな。それは決してダメなことではない。「夢は形を変えて叶う」ものと信じているし(これを語ると話が逸れてしまうので省略)。

『空の青さを知る人よ』を観ると、諦めるにせよ他の目標を見つけるにせよ、若き日の自分に「こう歩んできた」と胸を張って言えるだろうか? ということを自分に問わざるを得なくなる。
「なりたかった自分」は職業であったり人間関係なものであったり性格や容姿的なものもあるかもしれない。いろんなことがあるだろうが、つまるところそれは「生き様」なんだろうと思う。
 しんのが慎之介と対峙した時の台詞に心打たれたのは、うまくいかなくて思い描いていたものとは違っていたとしても、お前は突き進んであがいてもがきながらでも進んでいるのかい? と突き付けられた気がしたからだ。
 その答えは作品を観る人それぞれにあるだろう。慎之介としんの、あかねやあおいに自分を重ねる人もたくさんいると思う。だから『空の青さを知る人よ』は鏡のような作品と言える。鏡を見てうっとりするかがっかりするか……笑。
 そういった意味では十代で観た人が羨ましい。彼らが十三年後にこの作品を観た時、どんなことを感じるだろうか。

 

 と、めんどくさいことを書いたが、ここからは雰囲気を変えて。
 もうとにかくあおいがいちいち可愛くてヤバかったね笑。中二リリックといい素直じゃないところといい極上のとんがりキャラで最高だった。でも、真っ直ぐで優しいんだよね。泣けるくらいに。自分のことだけじゃなくて、それはお姉さん思いだからで。
 『泣いて……ないし』は本当に沁みるね。
 苦くてもとても素晴らしい時間を過ごすことができた彼女の歩む空は青くあり続けるのだと思えた。彼女は十年後二十年後でも、過去の自分に胸を張って自分の歩みを見せることができるだろうな。

 

 もちろんあかねも素敵だった。ジムニー乗りというだけで好きになっちゃうね笑。松平健演じる新渡戸団吉もツボだった。そしてそして正嗣の恋の行方!も気になる。正嗣に注目してみると作中の言動がなかなか深いんだよね。彼だけでもいい感じの物語になりそうで。あおいが全く気付いていないところが少し切ないが笑。少し未来の正嗣奮闘記のようなSSも妄想してみたり。もしかしたらpixivにでも書くかもなー。

  

 もうひとつ、『空青』は主題歌が素晴らしかった。あいみょんは聴いたことなかったのだけれど良いね。どことなく昭和な雰囲気(吉田拓郎のような)がノスタルジックで過去と現在という作品内容と違和感なく一体化していた。劇中で慎之介が作ったことになっている『空の青さを知る人よ』はもちろん『葵』がとても良い。

 当初はこの曲が『空の青さを知る人よ』として作られたそうだが、なるほどそう言われると夢に向かって揉まれている慎之介が作った曲としてもしっくりくる。同時にやはりタイトル通りにあおいのテーマとしても相応しい。あいみょんやるなあ。
 やっぱり映画って素敵な音楽が欠かせないよね。『空青』は劇伴も良かった。

 

 まだいろいろ言いたいことある気がするけどとりあえずここまで。
 最高過ぎる映画だった。

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相生あおい

秩父行きたい。

イラスト練習置き場『僕の心のヤバイやつ』


『僕の心のヤバイやつ』フアンアート

随時追加します(転載禁止)

 

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メリークリスマス2019

 

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このマンガがすごい! 2020 第3位

 

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「大きいねっ」

 

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いつか一緒に…

 

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ポッキーの日ビフォア

 

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山田杏奈

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山田杏奈

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市川京太郎と山田杏奈

 

『天気の子』を観て読んで感じたこと まとめ

 感想というものは作品に触れたタイミングによって変わるものだと思っている。殊に新海監督作品は年齢や性別、置かれている状況によって感じるものに幅があると思う。数年前と今とでは全く違ってみえることも。『天気の子』はどうだろうか。作品に臨むにあたり、自分が最も気になったのはストーリー展開よりも登場人物の気持ちをどれだけ感じることができるかだった。すなわちそれは共感。この共感の有無によって全く違って見える。

 ここはそこに特化した内容となっており、作品のメッセージやテーマなどはあまり考慮していないこともあらかじめ記しておく。感じることの変遷を記録する場所であり、批評して喜んでるつもりはない

 絶賛以外は目にしたくない人はすみやかに退場願います。反論や苦情も受け付けない。押し付けなしの「自分はこう感じたよ!」等のコメントは歓迎します(ネガティブ感想でもOK)。

 当たり前だけどネタバレあり(新海監督他作品も含む)。

  

 

 

ファーストインプレッション[2019年7月19日 公開初日]

 新海監督最新作『天気の子』を観た。
 今のところ長文感想を書く予定はないけど、なんとなく吐き出しておきたい部分だけ簡単に挙げておく。もろ手を挙げての大絶賛でもプンスカ批判でもない。素直に思ったまま。具体的な内容はないのであしからず。

 第一印象は「普通に面白かった」。あと陽菜かわいい。正義!笑。

 作品というものは制作者の意図はともかく、世に出されてからの評価は受け手それぞれに委ねられるものだし、幅広いとらえ方があって当然。新海監督のファンであってもこれは好きあれはそうでもない、というのは自然なこと。今作も絶賛から批判まで幅広い感想があると思う。

 『天気の子』を新海作品と比べてどうこうというのはあまり意味がないと頭では思っている。ただファンである以上、衝撃だった『君の名は。』や深く沁み続ける『秒速5センチメートル』と比べてしまう感覚はどうしても避けられない。何が変わり、変わらないのか。新たに感じる何かはどんなものがあるのか。過剰な期待は持たないように、それでもやはりわくわくしながら臨んだ。
 結果として、少しばかり危惧していた失望はなかった。面白い作品だった。同時にとてつもない感情に包まれ自失してしまうこともなかった。かといってそういったものが無いことへの不満もない。なんとも不思議な感覚だ。繰り返すが普通に面白かった。
 
 ストーリー展開や結末に納得いかないことはなく、お話は素直に観ることができた。それでも、なんというか……すんなり入ってこなかった部分もあった。それは登場人物の心の動き。
 展開にドキドキしながら画面を追うと同時に、その行動の裏付けとなる感情のようなものに「強さ」をあまり感じることができずに、考え続ける自分もいた。具体的にどこがと言い難いんだけどね……。全体的にスマートに心が動いているような?とでも言おうか。湧き滾るものに押される感、のようなものが最後まで分からなかったというか。自分が鈍くなったのかな?
 パンフレットやインタビューを軽く読む限り、主人公のバックグラウンドは意図的に省いて描いていたとのことだったが、これが引っかかったところかもしれない。
 冒頭で陽菜に重い現実があるのは分かるし、顔中絆創膏だらけで家出した帆高もまあまあハードなことがあったのかと想像できる。そんな二人がしんどく描かれた東京で肩を寄せ合い惹かれ合う的な。そうなんだけど、そうなんだけど……うーん。ぶっちゃけ陽菜かわい過ぎるから好きになる理由なんてそれだけでもいいのだが。
 世界がどうなろうと陽菜さえ戻ればそれでいいというのは少年らしくていいし、発砲厭わないのもアリだとも思う。でも、そうなるに至る心の流れが分からなかった。もっとはっきり言うと「弱い」と感じた。
 恩人に銃口向けるといった狂気じみた行動するまでに強い陽菜への想い。その心に飛躍したのはどこなの?って。それがわからないくて「会いたいんだあっ!」と叫ぶ流れにシンクロできなかった。須賀氏の動機が掴みやすかったのと対照的。それがスタンディングオベーションにならなかった最大の理由。
 自分のとらえ方が弱いだけなのかもしれないけどね!
 もちろんそこは他作品にも見られることで今作だけの特徴ではないのだが、出会いから関係が進むに至る感情の起伏に、重さや強さといったものまで省かれている気がしたり…。自然に脳内補完できるので問題ないのだが、それにしてもライトだな~という印象。さっぱりしてるともいう。それはそれで悪くはないんだけどね。

 あとは『君の名は。』人物を出し過ぎじゃないの~って笑。あそこまでがっつり出されるとは思わなかった。正直言って台詞いっぱい瀧や店員さん三葉まで出てくると、ストーリーそっちのけというか、集中できなかった笑。いや三葉さん素敵で良かったんだけどさあ。でも、ねえ……。『君の名は。』のユキちゃん先生の場合はあくまでユキちゃん先生であってユキノさんというわけでもないしなあ。キャストに「立花瀧」「宮水三葉」「宮水四葉」と確定されるとなあ。いろいろ、なんかなあ……。いや四葉さま可愛いんだけどさあ。
 そこは嬉しさよりも少し「んん?」って。『天気の子』を観ているのに『君の名は。』アフターあれこれの妄想邪念が入り込んで困った。 
 個人的には今作の瀧三はパラレル設定と思うことにした。

 
 繰り返すけど普通に面白かった作品だよ(しつこいね)。今回の感想はあくまで初見の印象。小説を読み、あと一、二回観賞したら変わるかもしれない。スルメのように噛めば噛むほど味が出てくることだってあるし、掌返しで大絶賛なんてことも十分に考えられる。
 その時にまたこの感想を読み返し比べてみたいという気持ちもあって記してみたのさ(という言い訳)。
 というわけでこれを読んで気分悪くする人がいたらごめんなさい、とまでは言わないけど別に不快にさせようと書いたわけではないことはご理解いただきたい。

 新海監督の次回作も楽しみにしている。

 

 

 

感想のやり取りなどから捻り出てきた何か① [2019年7月21日]

 自分の拙い感想のようなものを監修して下さる方達とのやり取りから浮かんできたものをあげてみる。やり取りというが実態は「何が分からないかを探す作業」だった。

『天気の子』の作品テーマや新海監督の意図などは、この時点ではそんなに考慮していない。それはなんとなく掴めているし、どのみち監督自身の口から明確に答えが出ることだから。それよりもまだ帆髙の心の移ろいの核が掴めないでいる。それがどうにも知りたくてうだうだしている時に捻り出てきたものから抽出したものが以下。
 ファーストインプレッション同様、この時点では小説は読み終えていない。

 

帆高について

 ラストの解釈もまだ全然なのだが、今はとにもかくにも帆高はどのように陽菜への想いを強めていったのか、それだけが知りたいという状況で困っている(喜んでる)。
 置かれた状況、貧しさ、不自由さ、閉塞感、理不尽さ、社会(大人)からの敵意、それを打開し共有する若い男女が惹かれ合い結び付くことに理由なんていらない、当然だ。
 そう思ってみても、須賀氏にまでピストル向けるまでの「狂った」状態に陥る流れが映像の流れから感じることができなかった。そこがちょっと腑に落ちなくて。
「こんなの考えるの自分だけかもなー」と思いながらも。
 小説も途中なのだすが、まだ分からない。
 ただ、「狂ってる」がキーの一つではあるのだろうなとは感じている。
 何が狂っているのか。見方が変わればそれは正常。水に沈んだ東京も天気が「狂った」結果であり、人間(陽菜達、あるいは社会の営み)が自然を狂わせたからでもある。同時にその水没した状態が本来であって狂ってなどいない。人間が狂わせたなどおこがましい考え。
 そう思うと帆高の陽菜への執着も、ある種「狂った」からであり、またそれは正常なことでもある。それがラストの「大丈夫」に至ったのかもしれない。

 

ラストの解釈、再会後の二人について

 再会後の二人の関係は上手くいかないこともあり得るとは思った。上手くいくだろうけど、別れることも普通にあるだろうなと。大人になる過程、普通の若い男女として。

 「あーこれ雲のむこう…的なものも感じるな」とも。
雲のむこう、約束の場所』はサユリを救い、世界も救った。天気の子は陽菜だけを救った。前者はそれが可能な状況ではあったものの、ヒロキの優先順位はサユリだった。作中でもタクヤと対立した。あの作品ではタクヤが須賀氏と同じ「大人」だった。そしてサユリが目覚めた時、ヒロキはサユリに「大丈夫」と。結果、二人はくっつき、そして自然に別れた。
 無理に重ねるつもりはないが、新海監督の「大丈夫」って観る人に意味を委ねている。秒速でも重要ワードだったね。
「大丈夫」って別に安心や永遠の愛の約束でも何でもなくて、私なりのとらえは「どうなろうとそれでいい」というような感じ。それはあくまで進んで掴んだ結果であれば、の話だが。
 だから陽菜と帆高が新たな日常を始めた時の「大丈夫」。それは何の保証もないけど、それでいいんだと。くっつき続けようが別れようが笑

 

「賛否両論」とは何かについて

 新海監督もずるいことやってきたなーと思ったよ。『君の名は。』登場人物がっつり投入は自分にとっても最大の賛否だね。
 祖母宅の瀧って瀧の皮を纏った別人としか思えなくて(三葉も)。あんな自信満々だっけ? 再会後ならわかるんだけど…。

 

 キラキラした東京の君名との対比としてリアルな東京。汚い東京。正直最高だった笑。そこを沈めてしまうのは痛快だなとも。水上バスの行き交う水面は美しさすら感じた。
 そこで生きる人々に悲壮感はなかったし、この状況はもう狂ってなどいない。日常。だから雨が降り続けても、もう晴れを願う必要などなくても「大丈夫」。こうも思うかもしれない。

 

 パンフレットにあったが、作品は興行スタイルによって変わるというような監督コメント。今作は大規模エンターテインメントに特化して作られているんだなと強く頷けた。それが分かると本当に素直に楽しめる。
 そして自分自身はやっぱり単館系が好みなんだということも笑。

 

 

小説を読んで[2019年7月25日読了]

 上記に挙げた多くの事がかなり埋まった。結果物語への印象はもちろんのことだが、詰まりに詰まっていた帆高の心の移ろいの発着場を見つけることができた。どうやって帆高は想いを強めていったのかを小説でようやく納得できた。繰り返すが行動や選択の結果については初回観賞時から全く文句の欠片もない。


 小説を読み終えるとすぐに居ても立っても居られなくなり、映画館へ足を運んだ。初回に立ち止まってしまった帆高の移ろいは、やっぱりアニメ本編中で掴むことはなかったが、小説を準えながら観ているととても腑に落ちた。

 どうも自分は映像作品から何かを感じとる能力に欠けているのだろうか。これは引っかかったところは異なるが『秒速5センチメートル』で味わった感覚に近いかもしれない。認めたくはないが小説を経てようやく把握理解できたのはそういうことなのだろう。
 ただ、『君の名は。』や『言の葉の庭』、『雲のむこう、約束の場所』はアニメ本編で最大限に入り込んできたので(これらも詳細な説明があるとは言えない)、ちょうどココ!というツボに当たっていれば違ったかもしれない。
 その映像作品での「ココ」がどんなものか具体的に示すことはできないが、ここはもう感覚的なところなので文章にすることが難しい。自分にとって『天気の子』ではそうではなかった。それだけのことだ。だからといって自分にとっての作品の優劣が決まることはなく、アニメだけでは掴みきれなかった『秒速5センチメートル』は今では最も好きな新海作品だ笑。そして 映画から小説を経て『天気の子』へのとらえ方は変わった。第一印象の「普通に面白かった」が、今では「とても素晴らしい」作品。これからどんどん好きが深まっていくだろう。

 

 小説版の内容については新海監督のあとがきにあったように人物の表情や言葉、行動に強いものを持たせるための人生の描写、あれこれの積み重ねがとても丁寧に描かれている。
 帆高と陽菜の物語は須賀氏や夏美さんの人生、物語も映し出すことによって強い説得力を持っていたのだと、より強く認識することができた。そしてあくまでサイドストーリーなのに、そこにすら惹かれてしまった。夏美さんの最後の叫びのシーンは泣いてしまったよ。
 須賀氏の言葉と涙、夏美さんの明るさの裏に秘められた想いや悩み、それらが帆高と陽菜にも重なり通じ物語が動いていくさまに心が揺さぶられた。

 

 ラストシーンの陽菜。正直なところ映画ではどう捉えたらいいのか分からなかった。たぶん今でも分かっているとは言えない。でもそれでいい。自分なんかが分かってたまるか、という気持ちすらある。
 どれほどの想いを胸に過ごしてきたのだろうか。沈んでいく東京をどんな気持ちで見つめていたのか。後悔や反省、諦めや自分への言い聞かせ。どれも違うと思う。でも晴れやかであり続けていたとも思えない。
 ただ、祈っていた。祈りや願いの意味など考える意味があるだろうか?
 帆高の言葉の通り、なんと尊いのか。それだけしかなかった。

 

  小説『天気の子』は映画に全く劣らない素晴らしい物語だった。

 

 

捻り出てきた何か② [2019年7月28日]

「僕たちは、大丈夫だ」について

 ①では安心や永遠の約束というとらえ方ではないと書いた。「どうなろうとそれでいい」、信じて突き進んだ結果なのだから。 
 基本的には変わらないが、新海監督コメントにもあるように正解はRADWIMPS『大丈夫』歌詞にあり、そこに小説を重ねてもっと掴むことができた。
 大人達からの「お前のせいじゃない。元々狂ってたんだ、そういうものなんだ」という言葉は真実で、水に沈んだ東京に向かって祈る陽菜を目にして「違う」となるのもまた真実なんだよなあ。
 一身に世界の形を背負わされた陽菜が、あれほどのことに遭っても、それでもまた祈る。もう役割を終えているのに、自分たちで選んだことなのに、それでもまた祈り願う。晴れを願うものかもしれない。故郷を失った人々への祈りかもしれない。また帆高に逢いたいという願いかもしれない。それでも、その祈る彼女の姿はあまりにも尊い。その彼女のしたことを、自分のしたことを、元々狂っていたで済ませていいはずがない。

 だからその全てを抱えて生きていく。信じて選んだ結果から目を背けず生きていく。どんな未来でも陽菜の大丈夫になって生きていく。そういうことなのかな。

 

 そこに晴れがある。 

 

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天気の子 アメ

 

蛇足[2019年9月9日]※毒あり閲覧注意

 『天気の子』という作品への評価は変わらないが、公開後に次々と出てくる後出し情報の積み重ねにより、純粋に作品を楽しむことができなくなった。

 それは劇場舞台挨拶での質疑応答に拠るものが大きい。作品を生み出すにあたっての想いや取り組み方といったものではなく、多くは「その後の二人」や誰が何を思っていたかの詳細説明に終始していて残念だった。帆高と陽菜はどうなっただの、瀧と三葉がどうだっただの、そんな質問回答ばかり。
 劇中に描かれていないものは受け手に委ねるべきと常々思っている。公式が何を言おうと劇中にないものは無きに等しい。それでもやはり公式発言というものの存在は大きい。それなのに公開間もない段階で公式があれもこれも事細かに言うのはどうなの?
 殊に瀧と三葉の須賀神社での再会が「雨の中で、二人には晴れて見えていたんじゃない?」というような発言。これには本当にがっかりした。『君の名は。』はなんだったの? 『天気の子』の踏み台なのか? そんなことすら思ってしまうほどに黒いものが心に広がってしまった。

 あの二人が雨が降り続け水没した東京で再会しただなんて。あの景色が心象風景だっただなんて。はっきり言おう。冗談じゃない。彼らは『君の名は。』の世界を生きていたのであって後付けの『天気の子』の世界にはめ込むなんておかしいよ。他にもいくつかあるが、これ以上挙げるとおさまりがつかなくなるのでやめておく。
 大切にしていたものを踏みにじられたような感情に包まれた状態で『天気の子』を純粋に楽しむことは難しい。こんなことを思ってしまう自分もおかしいのかもしれない。
 もちろん、勝手な思いを勝手に裏切られたと感じて勝手にがっかりしただけのことだ。アフター妄想に熱心なファンや公式に文句をぶつけるのはお門違いだということも分かっている。だからせめてこのブログでは勝手に失望を表明させていただく。

  

以上。

 

イラスト練習置き場『かぐや様は告らせたい』

ほぼ早坂愛

随時追加します(転載禁止)

 

 

早坂愛

早坂愛 ギャルモードめ組

 

早坂愛

早坂愛

 

早坂愛

早坂愛 かぐや擬態

早坂愛 かぐや擬態

早坂愛 かぐや擬態

早坂愛 ギャルモード

早坂愛 ギャルモード

早坂愛 ギャルモード 主線なし

早坂愛 ギャルモード 主線なし






種子島の旅 観光編

大幅に遅れてしまったが去年訪れた 種子島『秒速5センチメートル コスモナウト』旅での一般観光あれこれ編。コスモナウトロケ地巡りが主目的だったためじっくり観光とまではいかなかったが、それなりに周ることができた。あまり撮らなかったが写真と動画などをまとめた記事にしておく。旅の概要については種子島『秒速5センチメートル コスモナウト』にあるのでここでは省略。 

 

 

サトウキビとカライモ畑

種子島はサトウキビの島といっていいほどにサトウキビ畑が広がっていた。またカライモ(サツマイモ)も広く栽培されていた。あまり他の作物は見かけなかった気がする。

種子島 サトウキビ畑 カライモ畑

種子島 サトウキビ畑

種子島 サトウキビ畑

種子島 サトウキビ畑

種子島 カライモ畑

動画(音あり) 中種子町野間 サトウキビ畑からアイSHOP石堂

 

種子島宇宙センター

https://goo.gl/maps/oCfqoRwE7hx

種子島を訪れたら絶対に外せないのが宇宙センターだ。簡単に訪れることができない場所にあるからこそ、その姿を目にした時は本当に感動した。

とにかく「美しい」のひと言に尽きる。青い空、輝く海、美しい緑、そして宇宙センターの調和が素晴らしい。ここで打ち上げを見ることができたらどんなに幸せだろうか。実際の打ち上げ時は関係者以外は立ち入り禁止となるので遥か遠くから見上げるしかない。

種子島宇宙センター竹崎展望台からの射場。

種子島宇宙センター宇宙科学技術館。N1ロケット実寸模型が立つ。 

種子島宇宙センター驚くほどに手入れが行き届いた広大な芝生広場。

種子島宇宙センターH2ロケット実寸大模型に圧倒される。

種子島宇宙センター

種子島宇宙センター館内に展示されているメインエンジンLE-7

種子島宇宙センター

種子島宇宙センター

種子島宇宙センターALOS陸域観測技術衛星)模型

種子島宇宙センター回収したフェアリング(ロケット先端カバー状部分)。実際に触れることもできる。軽くスカスカな構造で驚いた。

動画 宇宙科学技術館入口~駐車場~竹崎展望台

 

宇宙センター施設案内ツアー

宇宙センターの案内ツアーは人気のため基本的に予約が必要(空きがあれば当日参加も可)。また打ち上げ直前などは開催されない。

通常だと立ち入ることができないエリアにも入ることができるのでツアーには絶対に参加したい。しかも無料。日によって巡るコースが違い、自分の時は残念ながら大型ロケット発射場に行くことはできなかった。

種子島宇宙センター

種子島宇宙センター製造されながらも事情により打ち上げられなかった実物のH2ロケット。間近で見ると大迫力。

種子島宇宙センター赤いのは断熱塗料とのこと。

種子島宇宙センターこれまた本物のエンジン。

種子島宇宙センター

種子島宇宙センター 総合指令棟総合指令棟。


増田宇宙通信所

https://goo.gl/maps/rqG84CATuq42

種子島の宇宙関連施設は南種子町の宇宙センターだけではない。中種子町にもあるのだ。それがこの増田宇宙通信所。ロケットや人工衛星の追跡などを手掛ける施設。巨大なアンテナが空の彼方を追い続けている。ここも見学することができる。展示は小規模だがとても興味深い内容で面白かった。

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増田宇宙通信所増田第一可搬局。24時間365日休まずに衛星を追跡している。増田宇宙通信所

増田宇宙通信所ロケット精測レーダーアンテナ。

増田宇宙通信所

増田宇宙通信所H2Bロケット2号機打ち上げで回収したフェアリングの一部。

増田宇宙通信所ここでもフェアリングに触ることができる。

増田宇宙通信所

増田宇宙通信所ほぼ貸し切り状態。

増田宇宙通信所アンテナの仕組みを音で体感できるとかなんとか。

アンテナカードまた、ここではアンテナカードなるものをゲットすることができる。なかなかのレアアイテム。 

動画(音あり) 増田宇宙通信所敷地走行

 

アコウのアーチ 

https://goo.gl/maps/w5WVrJbdC6r

アコウとは温暖な地域に自生するクワ科の樹木。このアコウは横に成長し、まさにアーチのようになった部分が道になっている。途中で倒れたまま成長したのだろうか。とにかく珍しい状態だそうだ。鬱蒼とした林を走ると突如現れるさまが神秘的。夜だとちょっと怖いかもしれない。

 

太田のヘゴ自生群落

https://goo.gl/maps/oC4MfUF9Fik

ヘゴとは大型の樹木状シダ。巨大なヘゴの近くに立つと恐竜が出てきそうとか思った。

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太田のヘゴ自生群落

太田のヘゴ自生群落  

喜志鹿崎灯台

https://goo.gl/maps/LLFSxdLVWwj

大隅海峡を望む種子島最北端。古くから海上交通の要衝ということで砲台跡も遺されている。

砲台跡。

動画(音あり)

 

天女ヶ倉展望所

https://goo.gl/maps/fdebK4zYqEz

種子島随一の展望。『秒速5センチメートル』の貴樹も何かを想いながらここで海の向こうを眺めたのではないかという気がした。

動画(音あり)

 

象の水飲み

https://goo.gl/maps/y1yyfpma9ns

角度が悪いがもう少し海岸よりの岩の付け根方向から見ると海水を飲む象のように見える。

 

門倉岬

https://goo.gl/maps/FM8THT14A9r

種子島最南端。ポルトガル船が漂着し鉄砲が伝来した地。

門倉岬鳴らすと幸せになるとされる鐘。鳴らさなかった。門倉岬御崎神社。

 

南日本酪農協同(株)種子島工場

https://goo.gl/maps/bCxTmsCrf8t

ヨーグルッペやデーリィコーヒーでお馴染みのDairyブランド。『秒速5センチメートル』ファンにとっては聖地に準ずる場所と言えるのではないか。ここでヨーグルッペが製造されているのかは不明だが、工場の看板を見かけた時には結構高まった(笑)。

種子島乳業

 

 

以上。


食に関してはグルメに興味ないので適当に済ませていたが、南種子町で食べたインギー鶏という地鶏は噛みごたえがあっておいしかった。その昔難破して救助されたイギリス船員から譲り受けた鶏の血統を守って育てている特産だそうだ。「実の吉」というお店が評判が良いと聞きそこで食した。食べ物を撮る習慣もないので写真はない。トビウオ料理など海産も良かったと思う。土産品は南伊豆町観光物産館「トンミー市場」でサトウキビやカライモを使用した菓子などを購入。

鉄砲館(西之表市)や千座の岩屋(南種子町)も訪れたかったし、長浜海岸で沈む夕日を眺めたかった。波に乗れはしないだろうがサーフィン体験もしてみたかった。

今回の旅はコスモナウトを感じるという絶対目的があったので観光は二の次となってしまったが、次はいろいろな方面に目を向けたいと思う。

 

種子島は良い。

 

 

 

『四月は君の嘘』舞台歩き……と観て読んで感じたこと

四月は君の嘘』の舞台を歩いた。開花し始めた桜によって作品世界をより強く感じ、とても良い探訪となった。

今回はその記録と、おまけとして『四月は君の嘘』という作品への自分の想いのようなものを綴ってみた(ネタバレあり)。

 

訪れた場所

練馬区観光案内所

まず最初に練馬駅北口Coconeri内の観光情報コーナーを訪れ『四月は君の嘘 練馬区内ロケーションMAP』を入手(無料)。

四月は君の嘘 練馬区内ロケーションMAP

主要シーンとその舞台が網羅されていて便利で記念にもなる素敵アイテム。 

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オリジナルグッズのクリアファイルも購入できる。

 

練馬文化センター

第1話,第4話

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藤和ホール(練馬文化センター)

かをりや公正がコンクールに出た藤和ホールで、実際は練馬文化センターという施設。最初に訪れCoconeriを出るとすぐ見える。敷地に隣接している公園では花見客やダンス練習している少女たちで賑わっていた。 

 

石神井公園 

第1話,第22話

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かをりと公正がそれぞれ黒猫を見かけた道。幼少時のかをりも駆けた場所。 

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かをりが黒猫を探した自販機コーナー。
猫はいなかった。 


石神井川沿い遊歩道

第2話,第16話,第22話

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代役を二度任命された場所。かをりの手紙を読む場面でも描写された。とても心に残る場面だ。

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彼女の本当の気持ちが胸に迫る。 

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桜の葉が色付く季節にも訪れたい。

  

前通り橋(土稜僑)

第5話,第11話,第22話  

https://goo.gl/maps/KZ6EvCvMkUJ2

練馬区から離れて埼玉県新座市にやってきた(西武池袋線ひばりが丘駅)。ここは歩きだと時間がかかるのでバスを利用。北口のロータリーからバスが出ている。栗原バス停から徒歩10分くらい。

土稜橋(前通り橋)

「けんけんぱっ!」

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蛍の川岸も見える。

土稜橋(前通り橋)から黒目川

人生には思いきって飛び込む決断が必要な時がある。想いを届けるために残された時間を輝きながら走り続けるかをりの象徴ともいえる場面だ。 困難や挫折を乗り越えよう、何かを掴もうとしてあがく姿、成長する姿に共感できるから『四月は君の嘘』は素晴らしいのだ。 

 

踏切

第11話,第22話

https://goo.gl/maps/2wyjGHu4FY22

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この光景は西武新宿線の高架化事業によって消えることが決まっている。アニメと現実を混同するわけではないが若干の寂しさはある。

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「上石神井第4号踏切」
車の往来はなく、人もそれほど多くはない踏切。静かな雰囲気が作品世界に入ってしまったかのような感覚が心地良い。あたたかさと寂しさが混ざりあう。
この踏切も消えることが決まっている。それでも作品の中では永遠に残り続ける。

  

今回の『四月は君の嘘』巡りはこれで終わり。来ることができて本当に良かった。行けなかった場所はまた次の機会に。

 

――おわり――

 

 

四月は君の嘘』を観て読んで感じたこと

ここからは舞台探訪記録ではなく作品への想いなどを書く。

2011年に漫画連載、2014年にアニメ放映が開始された『四月は君の嘘』。最近になってアニメ版と原作漫画を体験した。素晴らしい作品だった。

実は作品自体は数年前から知っていたが、ずっと避けていた。『君の膵臓をたべたい』を読まなかった理由と似ている(キミスイ感想はこちら)。それにしんどいのはやっぱり辛い。それでも自分の中で向かい合う準備が整ったと判断し観ることにした。

 

  

中学生の有馬公生や宮園かをりに降りかかる運命は、あまりにも酷で心が苦しい。

それでも、どんなに苦しくても懸命に生きよう掴もうと必死にあがく姿、お互いと自分を見つめ、信じて成長していく姿に心を打たれた。

また彼らを取り巻く人々にも皆それぞれ抱えた何かがあり、そういった人々との影響を与え合う様子が丁寧に描かれているのも素敵だった。

生きていく上で避けることができない大切な人との別れ、残り続ける想い。誰にでも降りかかる出来事だからこそ、苦しみや辛さを温かく包み込んでくれる内容に「ありがとう」と言いたくなる物語だった。

 

この作品は二周目以降により響くという声があった。その通りだ。最終話を終えても余韻に浸る間もなく、すぐに第一話から通しで観た方が多いのではないだろうか。

最初は主人公に寄りながら徐々に飲み込まれていったのが、二周目は宮園かをりの物語として強烈に入り込んでくる。宮園かをりの数多の言動に込められていた真意を知った状態で観る衝撃。泣かずにはいられない。かをりの行動や言葉、表情一つ一つに込められている「叫び」ともいえる強い想いが痛いくらいに突き刺さる。どれほど苦しく、どれほど嬉しかった日々だろう。

 

『届くかな 届くといいな』

届いていた。かをりの想いも公生の想いも届いていた。 彼らの気持ちや願いは届いていた通じ合っていた。 

音楽は心を繋ぐ。音楽は大切な人を連れ去っていかなかった。音楽が大切な人に逢わせてくれた。大切な人を心に残し繋げてくれた。

失ってしまっても、心には残り続ける。届けることができる。思いを込めて奏でる曲には魂が宿る。それは音楽だけではなく、言葉や行動だって同じだ。公生がかをりに惹かれていったのも、かをりがそうだったのも、彼らが奏でる音楽はもちろんだが、想いに裏付けられたものがあったからだ。

 

この物語は有馬公生が宮園かをりに引っ張られ成長するストーリーのようで、成長する公生によってかをりもまた救われ成長する物語だった。救われる、というのは適切ではないかもしれない。お互いに高め合い、お互いの心に住み、それによってかをりが燃え尽きるまで走り続けた物語といった方が近いかもしれない。

かをりは死んでほしくなかった、ということはあまり思わなかった。もちろん悲しい。でも、この物語で大切なのはそういうことではない。

誰かが「心に住み続ける」ことの素晴らしさ。心にあり続ける限り、その人は生き続ける。心を揺り動かし、生き方を変えるまでに誰かの心に住むということは、人生の中でそうあることではないのだから。

 

中学生でこんな恋をしてしまったら、残りの人生抜け殻になっちゃって椿が頑張ったところでもう恋愛なんて無理! となると思うかもしれないが、公生は違うだろう。かをりのことは決して忘れないし、心にずっとあり続けながらも最高の人生、最高の恋愛を見つけるに違いない。かをりから受け取り、かをりに贈ったものを多くの人にピアノを通じて表現しながら……。そうしていつかまたどこかで、かをりと公生は共に演奏するだろう。
公生の奏でるピアノには多くの人の想いが込められる。母の想い、公生を囲む人たちの想い、繋がっている多くの人の想いが存在し続ける。そして何よりも宮園かをりが。そう信じさせてくれたからだろうか。別れの悲しみや苦しみ切なさといったものよりも、あたたかさや嬉しさといった感情が大きく占めるのだ。

 

最後に、渡くんはなかなかしんどい立場だなとも思った笑

かなり早い段階からかをりの本心にも気付いていたのだろうが(はぐらかされはしたが)、それでも彼もかをりが好きだったのだろう。試合に負けた後のトイレ、公生を励まし見舞いに誘い続ける、そして携帯の待ち受け。本心を最後まで明かさなかったのは渡じゃないかな。最後までいい男だった。 

 

宝石のような物語に出逢えたことに感謝。

『秒速5センチメートル』舞台探訪 東京編

秒速5センチメートル』のロケ地巡り(聖地巡礼ともいう)をしてきた。今回は第1話『桜花抄』と第3話『秒速5センチメートル』の舞台となった渋谷区を歩いた。東京にいた頃の活動エリアで(小田急線も利用していたし豪徳寺辺りもうろうろしてた)今さら感があってこれまで訪れようとは思わなかった。思い入れがあるのは『コスモナウト』だしね。それでも作品全体を通しで思索したい事情があったので今回いろいろ巡ってみた。もっと早く来ておくべきだったと思った笑。

訪れた場所


参宮橋公園沿い坂道

 https://goo.gl/maps/v2Q1sT6FWJT2

参宮橋公園貴樹と明里の小学時代の通学路。訪れた時には桜が咲き始めていた。 

 

参宮橋公園同じく参宮橋公園沿い。桜の花の落ちるスピードに想いを馳せる。

 

参宮橋公園逃げる相手はいないのに追いかけるように小走りで坂道を下ってみたら人がたくさん歩いていた。


参宮橋1号踏切

https://goo.gl/maps/CRBQG76txDt

踏切

明里だけ渡った踏切。

 

動画(音あり)


代々木八幡宮 

https://goo.gl/maps/Zev6pZDXFoA2

代々木八幡宮境内

撮影時は当たり前だが工事は終わっている。思えば新海作品は工事中の描写が印象的。 

 

代々木八幡宮境内

猫はいなかった。 

 

代々木八幡宮境内

とても静かな境内。

 

代々木八幡宮境内

 

首都高下の小田急線路

https://goo.gl/maps/sjZz2XuWdYC2

小田急線路

跨線橋から

 

首都高下の公衆電話ボックス

https://goo.gl/maps/e6WayEF7Rds

公衆電話ボックス

受話器を耳にあててみた。特に何の気配も感じなかった。
次の機会があれば夜に訪れたい。

 

参宮橋3号踏切

https://goo.gl/maps/McHYZmVic672

踏切

彼女は、そこにいるだろうか?

 

タイミングの悪い動画(音あり)。
住宅地で人や車の往来がそこそこあるので狙い通りに撮れるまで粘るのはやめておいた。  

 

踏切

ここから、また始まる。

 

 

今回の『秒速5センチメートル』巡りはこれで終わり。

少年期の貴樹(と明里も少し)の心情。東京を離れ、再び東京に戻ってからの青春期の日々。そして多くの事を経て新たな想いを掴もうとする移ろい。そんなことを想像しながら歩いてみた。

 

秒速ロケ地探訪は種子島編もあるのでよかったら見てね。

hanahanaqqq.hatenablog.jp

  

 

 『秒速5センチメートル』は良い。

 

 

はじめての小説同人本

本を作りたい

 pixiv等に小説やSSを投稿する遊びは楽しい。思いついた物語を気軽に発表し、全国各地の方に読んでいただけて、たまに感想までいただける。とても素敵な場だ。ただ、ネットは虚だ。PCやスマートフォンがなければ場も自分のお話も存在しないに等しい。そこがちょっと寂しいなーという感覚があった。でも紙の本ならいつでも手に取って読めるし、何より「自分の本」という響きが良い。自己満足に浸りまくれそう。いつからか「自分の書いたお話を本にしてみたい」という思いを抱くようになっていた。でも大変そうだしお金もかかりそう。地方在住者にとってイベントでの頒布も難しい(仕事もあるし)。思うだけの日々が続く。
 それでもイベントシーズンになるとpixivはサンプルで賑わいTwitterでは宣伝が飛び交う。イベントが終わると今度は通販告知が始まる。否が応でも本、本、本……という主張が目に入るようになっているのだ。それが繰り返されると徐々に気持ちも傾くというものだ。そしてある時、もう思ってるだけはつまらないので作る! となった。イベント頒布はしない(地方なんでね怒)が通販ならできるので、それもやることにした。
 だがスキルがない。ノウハウ聞ける友人もいない。作り方を細かく解説したサイトもない。あるのかもしれないが見つけられなかったので、こういうのは内輪の世界なのかと勝手に思ったり(笑)。初心向けハウツー情報を得るのは簡単ではなかった。
 それでも断片的ながらウェブサイトやTwitterで情報を見聞きし、少しずつ覚えながら作業を進めた。何度か行き詰まり中断期間もあったが、どうにか完成させることができた。

 前置きが長くなったが、その過程を備忘録も兼ねて記事にした。ここを読み返せばいつでもまた同じように作ることができるのだ(忘れっぽい)。これから作ってみたいという人に少しでも参考になればいいなとも思う。一人ぼっちでも大丈夫。君ならできる。
 自分が開拓した方法や手段は皆無だし、的確な情報は他にたくさん存在しているだろう。この記事は散らばる既存情報を自分用にまとめ、素人が実際にやってみた過程の汗と涙の記録だ。一流同人作家さんには読む価値なしの鼻で笑われる内容であることをあらかじめ記しておく。

 

使ったもの

  • 原稿
     これがないと始まらない。今回はPixiv投稿の既存作品を用いた。ただしウェブ掲載と一般的な本とでは縦書き横書きの違いだけでなく、行間や文字配列、改頁などのバランスも大きく異なる。ほとんどの場合、そのままの移植だと読み難く見栄えも悪い。再録にあたっては加筆や修正の適正化作業が必要になる。
  • 一太郎2018
     ワープロソフト。Wordで書く人が多いようだが自分はうまく使いこなせなかった。一太郎は小説執筆機能が充実しているという情報を得て試用したところ、かなり具合が良かったので採用。各種判型(本のサイズ)テンプレートが豊富なので初心者に優しい。本になった状態を把握しながら書くことができ、行や文字のバランスなどを後から調整する手間が省ける。ルビや縦中横変換、ページ毎のレイアウト変更機能なども比較的簡単に扱えた。同人小説愛好家に最適なソフト。

    日本語ワープロソフト 一太郎2019 | ジャストシステム

  • CLIP STUDIO PAINT PRO(以下クリスタ)
     言わずと知れた定番ペイントソフト。表紙デザインとアイコン作成に使用。印刷所への表紙入稿は紙でも可能なので必須ではない。ただし入稿データ送付や修正等のやり取り発生時はデジタルに分がある。クリスタにはPROとEXがあり、EXはフル機能だがお高いのでPROを使用。

    イラスト マンガ制作ソフト・アプリ CLIP STUDIO PAINT(クリップスタジオペイント)

  • WACOM INTOUS
     ペンタブレット。板タブとも称される。モニター画面を見ながら手元のタブレットにペンを走らせて描く入力装置。視線移動に慣れるまでは違和感が大きい。液晶タブレットの方がスムーズに描けるだろう(でもお高い)。自分は練習を重ねているうちに慣れたので今は問題なく使っている。

    Wacom Intuos: Creative Pen Tablet| Wacom

  • CubePDF Page
     ファイルをPDF化するフリーソフト。クリスタで作成した表紙をPDFに変換する際に使用。

    無料 PDF 結合・分割ソフト CubePDF Page - CubeSoft

  • 源暎こぶり明朝フォント
     フリーフォント。縦書き時のダッシュ(―)や三点リーダ(…)表示トラブルはこのフォントで解決した。見た目も綺麗で同人小説での愛用者も多いとか。

    okoneya.jp

  • プリンター
     印刷所では基本的にPDF原稿がそのまま印刷される。しかしモニターでは綺麗に配置したように見えても印刷すると微妙なことが少なくない。フォントサイズや文字数や行数もそうだが、殊に余白は1㎜違うだけでも印象に差がある。プリントアウトして確認→レイアウト調整を繰り返した。本になった状態とは異なるが紙での雰囲気は掴める。

 

本文原稿作成

 ここでは一太郎を用いた原稿作成について書く。

  1. レイアウト

     レイアウトは一太郎のテンプレートから選択した。

    f:id:hanahanaqqq:20190116182440p:plain

    [ファイル]→[文書スタイル]→[決まるスタイル]で各種版型テンプレートが出てくるので希望に近いものを選択し、それをベースに調整した。今回はA6文庫本レイアウトを選択。テンプレート毎にフォントサイズや行数、文字数は定めれているが、もちろん後から[文書スタイル]で変更できる。

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     今回、文字数は16行/頁、40字/行、余白は上14mm、下13㎜、左端(外側)12mm、右端(ノド側)14mmで設定した。見開きの際の綴じる側をノドといい、ノド側の余白が狭いと読み難くなってしまうので注意が必要だ。ちなみに上の画像は3.で述べる[ページスタイル設定]を貼っている。同じようなものだから問題ない。
  2. フォント

     今回のプロジェクトで最大の難所といってもいいほどに困ったのがフォント問題だ。Windows10には「二倍ダッシュ(――)縦書きだと繋がらない問題」「三点リーダ(…)縦書きで縦にならない問題」という問題があり、対策に悩んでいた。縦書き時に繋がらない二倍ダッシュは実に醜い。許せない。そしてそれ以上に三点リーダが縦表示されない問題はもっと許せない。あり得ない。
     この解決方法が分からなかったので進行が止まっていた。それをTwitterで呟いたところ『源暎こぶり明朝フォント』の存在を教えていただいた。このフォントで縦書き二倍ダッシュは繋がり、縦書き三点リーダもちゃんと縦になったのだ。まさに救世主。
     その後いろいろ調べたら源暎こぶり明朝フォント以外にも――や…が問題なく表示されるフォントがいくつかあることもわかった。以下のサイトが詳しい。とても勉強になったが、問題が解決した途端に情報が見つかるようになるのはなぜなのか。

    albalunaweb.net

  3. ページごとに書式を変えたい場合

     これは結構あると思う。小説本の場合、扉や奥付などにはページ表示(ノンブル)を入れない、資料的なページは小さい文字にしたい、ここだけ二段組にしたい、ここだけ横書きにしたい……など、最初から最後まで同じ書式で作るわけにいかない場合が多い。

    f:id:hanahanaqqq:20190116184013p:plain

     そんな時に活用するのが個別のページスタイル設定。 

    [書式]→[ページスタイル/中扉/奥付]→[ページスタイルの設定]で設定できる。

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     設定すると選択画面に戻るので[OK]を押すと「始点を指定してください」表示が出る。始点をクリック、そのままドラッグして終点位置までページをスライドさせる。この操作性はあまり良いとはいえず、うっかり解除するとその位置でスタイル決定してしまうので慎重に行う。

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     無事に指定できると設定したページスタイルの始点終点が赤線で表示される。解除したい時は[ページスタイルの解除]で同じ手順。

  4. ヘッダーフッター

     小説本のページ上下に見かける、小さいテキストが表示されている領域。上がヘッダーで下がフッター。複数のお話や長い章に分けられている場合、ヘッダーフッターにタイトル表示があると読書進行が把握しやすい。これがあるといかにも小説という感じがでて自己満足度アップ。
     [文書スタイル]で全体的なヘッダーフッター設定ができる。話や章ごとに異なる表示にしたい場合は3.の方法で個別に設定できる。

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     奇数ページには本タイトル、偶数ページには章タイトルといったように使い分けることもできる。

  5. 奥付とサークル名

     本のタイトル、発行日、発行者、著者サークル名、連絡先などを記述する奥付。同人誌はペンネーム、連絡先はメールアドレスで大丈夫らしい。あとは「無断転載禁止」「転売禁止」、二次創作であれば「原作や版権元とは関係ありません云々」などだろうか。
     奥付は[書式]→[ページスタイル/中扉/奥付]→[ページスタイルの設定]で設定できる。

     ここで気になったのがサークル名だ。イベント参加は考えてないが先のことはわからないし、ネットショップ形式だと屋号(サークル名と同じのが多い)も必要になるっぽい。ならば最初から奥付に載せとくかー……という流れで『からいもワークス』という個人サークルが誕生した。ネット検索や商標関連でも一応チェックしたので被りはないと思う。

  6. PDFファイルに変換

     一太郎は各種ファイル形式での保存が簡単に行える。印刷所入稿はPDF指定なので、さくっと変換。

    f:id:hanahanaqqq:20190119203049p:plain

     PDFにしたら「ページサイズ」「ページ数」「PDFバージョン」「フォントの埋め込み」などをプロパティで確認する。PDF上では表示されているのに印刷文字化けする場合はフォントが埋め込まれていないことが考えられる。

表紙原稿作成

 pixivやTwitter、イベント等で活発に交流している方は懇意の絵師さんに依頼するケースが多いようだ。それも同人活動って感じで素敵だよね。自分は人に頼むのが苦手なのと(断られるのが怖いとも言う笑)印刷以外は全てやりたかったので自作した。細々とイラストの練習もしているが下手クソどころではないウ〇チなので今回は写真をベースに作成。写真は本の内容に関連しているものを過去に撮ったものから選択。

 表紙の作成方法はいろいろあるのだが(たぶんWordや一太郎でも作れる)、今後のことも考えてクリスタで作成した。クリスタでの作業に難しい要素はない。指定サイズでキャンバス設定し、用意した写真を挿入してタイトル等のテキストを配置するだけ。タイトルは原作本を真似て少し加工した。

  1. サイズと断ち切り

     今回の本はA6文庫サイズ。仕上がり表紙サイズは[高さ148㎜×幅105㎜]。印刷所の指定原稿サイズは[高さ154㎜×幅218.5㎜](裏表紙と背表紙の分を含む)。指定サイズが大きめなのは「断ち切り」をするためだ。断ち切りとは四方を裁断し綺麗に仕上げることだ。断ち切り部分は「塗り足し」ともいい、この幅は通常3mm。f:id:hanahanaqqq:20190117004237p:plain 周辺部と四隅に線が表示されている。これはトンボといって、この線で断ち切りをするという目印だ。真ん中の縦二本の線は背表紙幅の目印。クリスタにはトンボ線を表示する機能がある。もろんこの線はクリスタ上のみで、出来上がった画像ファイルに線は表示されない。

  2. RGBとCMYK

     カラーモードという色の表現方法にはRGB(レッドグリーンブルー)とCMYK(シアンマゼンダイエローブラック)があり、印刷はCMYKで行われる。RGB表示のまま作成するとモニターで確認したのと印刷とで色ズレが出るのでCMYKに変換しての出力が望ましいそうだ(クリスタは通常RGB)。その場合はCMYKプロファイルでプレビューし印刷時のイメージを確認しながら作成する。

    [表示]→[カラープロファイル]→[プレビュー設定]で設定すると使用でき、[カラープロファイル]→[プレビュー]で表示、非表示を切り替える。

     自分は色ズレはあまり気にしないのでCMYKで確認調整せずに入稿した。モニターのキャリブレーションもやっていないし。

    tips.clip-studio.com

  3. PDFファイルに変換

      表紙や挿絵はTIFFやPSDなどで入稿できる印刷所もあるが、今回はPDF指定だったので変換する。自分が使っているクリスタPROにはPDF書き出し機能がない(EXはプラグインインストールで可)ので『CubePDF Page』を使用。

    f:id:hanahanaqqq:20190122155214p:plain

     ファイルをセットして[分割]クリックでPDF化完成。分割や結合……となっているのは、このソフトがファイル結合PDF変換ソフト(またはPDFファイルの分割)だから。画像一枚の変換の場合は分割しか選択できないが、画像が真っ二つになるわけではない。これで表紙のPDFファイルが完成。ここでもプロパティでページサイズを確認する。
     

入稿と印刷

 本文と表紙のPDFが用意できたらいよいよ入稿だ。その際、重要な選択をしなければならない。紙と印刷方法の選択、そして部数だ。 

  1. 紙と印刷方法

     本文の紙。利用した印刷所では4種類から選択できた。「上質70kg」「上質90kg」「書籍用紙72.5kg(淡クリームキンマリ)」「書籍用紙90kg(淡クリームキンマリ)」で、書籍用紙90kgを選択。その名の通り淡いクリーム色が目に優しく小説本に向いている。数字の大きさは厚さで、ページが多いなら薄い紙、少ないなら厚い紙といったように選択。ページが多いのに厚い紙にすると分厚くなって読み難くなる。

     表紙の紙。いろいろあって違いがよく分からなかったので字面の雰囲気で(笑)「アラベール スノーホワイト160kg」を選んだが、これは他の紙にすべきだったかもしれない(質感がイメージと違った)。耐久性向上のためにPP加工(ポリプロピレン加工)も選択。

     印刷にはオフセット印刷とオンデマンド印刷がある。精細さなど品質はオフセット印刷が勝るが、それなりに費用もかかる。オンデマンド印刷は迅速で少部数でも安価に刷ることができる。コスト優先なので迷うことなくオンデマンド印刷を選択。表紙は少しぼんやりした仕上がりになったが納得済みなので問題なし。表紙オフセットで本文オンデマンドというコースを用意している印刷所もある。

  2. 部数をどうするか

     もうひとつ入稿に際して大きな問題がある。それは印刷部数だ。自分用の本を作るのが目的ではあるが、欲しい方がいるなら頒布したくなる。でもイベント参加しないし、ウェブ投稿の再録本だし、マイナージャンルだし、あまり交流してないし、宣伝しまくるつもりもない。適正部数が本当に分からない。10部くらいかなあとTwitterで呟いたら思いがけず数名から入手希望の反応があった。そうなると10部では少ないかも……となったので30部で発注した。間違いなく余るね。

  3. そして入稿、印刷

     最後に原稿を入念にチェックする。ここから先は印刷所という幽世……引き返すことができない領域。口噛み酒を持っていないワシらは入稿したら最後、泣いても喚いてもそのまま本になることを肝に銘じねばならんのやさ(何とかなることもある)。
     一太郎には小説校正機能がある。明らかな誤字誤用や「」上のスペース空けなどの凡ミスは防げるが、例えば目次に記したページが実際と違うとか、行間空け過ぎたとか、「僕」が「俺」になってるとか、そういう類のミスは教えてくれない。何度でも徹底的にチェックしたい。
     とはいえ、これは遊びの活動だ。ミスも含めて楽しむくらいでいいとも思う。そういうわけで自分の本を入手する方は細かい間違いには目を瞑っていただきたいと開き直っておく。 

     原稿に問題なしと自信が持てたらいよいよ入稿だ。入稿方法は簡単。印刷所のサイトにアクセスし、示された手順に従い申込事項と個人情報を記入し、入稿アップローダーでデータを送信する(メールの場合もあり)。これで完了だ。印刷所からの入稿受付と入金案内メールが返ってくるので、その通りに指定口座に振り込む。あとは待つだけだ。

  4.  納品

     印刷所から完成した本が届くと開封小躍りの儀を執り行い、すみやかにチェックする。出来上がりについては普通な感じ。それでも「作った!」という感動はなかなかのもので、原作や劇場アニメ版来場特典の文庫本と並べて満足感に浸った。

  5.  試し刷りについて

    f:id:hanahanaqqq:20190127222800p:plain

     今回は本番前に試作版を作った。余白や文字サイズの印象、表紙の色、ページのめくり具合などを確認しておきたかったからだ。費用は余分にかかってしまうが、ぶっつけ本番で数十部刷って後悔するのとどちらが良いかは明らかだろう。1部から受け付けている印刷所もある。
     余白、フォントサイズ、文字数行数、表紙用紙の厚さなど多くの箇所を変更した。画像は左が試作版で、余白が少し目立っている。

頒布する

 さあ頒布だ。この喜びを同好の士と分かち合いたい。

BOOTH開設

 頒布はpixivのサービスであるBOOTHを利用することにした。pixivアカウントがあれば簡単にショップを開設できるし、投稿にも連動できるので何かと便利だ。

hanahanaqqq.booth.pm

 開設したのがこちら。奥付のところで考えた『からいもワークス』というサークル名をショップ名に流用。ちなみにカライモとはサツマイモのことだ。『秒速5センチメートル 第二話 コスモナウト』の舞台となった種子島でサトウキビと並び栽培されていて、『月がきれい』という素敵作品の舞台川越の名産でもある。イモにはこだわりがあるのだよ🍠 

梱包 

  Amazon等で本を買うとクッション封筒に放り込まれた状態で送られてくる。それが普通だと思ってたけど、自分が入手した同人誌は丁寧に梱包されたものが多かった(封筒に本だけというのもあった)。よってこれを真似る。「はなきうの奴、雑に送りやがって」とか思われたくないし、何よりも綺麗な状態で読んでもらいたいからね。その先は転載転売さえなければ折ろうが煮ようが好きにしてって感じだが、不要になったら完全処分だけはお願いしたい(できれば焼くかシュレッダーでズダズダに)。

 梱包には以下を使った。

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[厚紙(A4)、OPP袋(A5)、角2封筒、テープ、プチプチ]

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 まず本を防水目的のOPP袋に収納する。次に適度な大きさにカットしたプチプチで包む。さらに今回は薄い文庫本なので補強と封筒の中で暴れないようにA4厚紙を二つ折りにして間に貼り付けた。あとは封筒に入れて準備完了。 

発送の流れ

 通販での頒布に際し気になるのが個人情報だ。「住所氏名晒すのはイヤやー」って人は多いと思うし、自分も正直言って抵抗ある。ある程度知っている関係ならいいけど、いきなりはちょっとね……。名前検索したら出てくるしいろいろと都合も悪い(笑)。
 だがBOOTHには『あんしんBOOTHパック』なるものがある。これは双方匿名でやり取り完結できるという個人情報敏感時代にうってつけなサービスなのだ。もちろん注文の際にBOOTHを介した連絡はできる。
 自分は『あんしんBOOTHパック』のネコポスという最安プランで自宅からの発送を選択した。送料はポチってくださった方の負担なので発送時に金銭やり取りはない。

 実際の流れはこうなる。

  1. BOOTHに出品
  2. どなたかがポチっとポチポチっとする
  3. BOOTHから注文通知くる
  4. 注文内容チェックし梱包する
  5. QRコード二次元コード)を発行・印刷
  6. ヤマト営業所へ赴く
  7. 店頭の端末カメラに注文番号対応QRコードをかざす
  8. その場で送り状がプリントアウトされる
  9. 送り状と封筒をカウンターのスタッフに渡す

 以上。
 送り先が複数で中身が異なる場合などは、取り違え防止のため必ず注文番号を封筒にも書いておく。QRコードスマホ画面に表示できるが、数が多いと照合に手間取るので印刷しておくと素早く処理できる。

 ここでミス発生。封筒をクラフトテープで閉じたのだが、送り状を貼れば隠れるからと油断し雑に切り貼りしていた。ところがもたもたしていたらヤマトのスタッフさんに貼られてしまい見苦しい状態での発送となってしまったのだ。これは反省点。やはり糊付けが基本かな。

 ヤマト営業所での細かい手順は以下サイトが非常に詳しい。というか分からなくても営業所のスタッフがちゃんと教えてくれるから大丈夫だ。 

notare.hatenablog.com

 ネコポスはファミリーマートからも発送できる。【2019.2.1追記】

  1. Famiポート(緑色の情報端末筐体)の「配送サービス」を選択
  2. ヤマト運輸の表示がでるのでそのままポチっとする
  3. 案内表示に従いQRコードをかざす
  4. 吐き出されたレシート状の受付券をレジに持って行く
  5. レジの処理で送り状が発行される
  6. 店員さんから送り状とシール付の透明収納袋を受け取る
  7. 送り状を確認し袋に入れ、封筒に貼って店員さんに渡す

 以上。
 伝票収納袋はA5サイズなのでファミリーマートから発送する場合は封筒の大きさに注意。また、やり取りで少しレジを占有するので混雑時は避けたい。

 2019年1月から宅配便ロッカーPUDOでも発送できるようになった。設置場所によっては24時間発送可能なので便利。

booth.pixiv.help

お金の話

 同人誌はあくまで個人が趣味として貴重な時間を費やして作るもの。同好の楽しみを共有するための費用または対価に高いだの安いだのが前面にでるのは無粋だと思う。それが前提ではあるが、いざ作ろうと思った時に一番に気になるのはやっぱりここだよねーってことで、お金の話。
 今回は費用と時間、労力などを総合的に判断し400円にした。儲けるつもりは微塵もないし、さりとて大赤字でよしとも思わない。そして部数同様、適正ラインが分からない。調べると同じように苦慮している人が多かったが、いろんな考えの中で『ページ数や印刷形式に関係なく一律500円や1000円にする』のが分かりやすくていいと思った。ということで500円にしようかと思ったが、現物を目の前にすると「うーん、これ500円かなあ?」って感じがしたので100円引いた(笑)。卑下しているわけではないが、なんとなくね。あと印刷費が思ったより安かったからでもある。他の方はどうやって設定するのだろう。それはちょっと気になります。
 ちなみに今回の本はA6/56P/オンデマンド印刷/表紙PP加工/30部。この条件で各印刷所サイトで見積もるとおおよその費用は分かると思う。イベントでの頒布には旅費交通費が、通販でも梱包資材費が発生する。

本を作れた

 思っていた以上に本を作るという遊びは楽しかった。届いた時は嬉しかったね。
 pixiv等オンライン創作活動をしている人も、一度くらいは自分で本にしてみるのも悪くないと思う。紙の本というのは実に良いし、何よりも過程が面白かった。
 また、頒布するという意識があるとウェブ投稿よりずっと注意して書く(書き直す)ようになったのも発見だった。これはお金が動くことの影響もあるだろう。誤字チェックだけでなく、ひとつひとつの言葉に「この言い回しって正しかったか?」と立ち止まって調べるようになる。誤用や間違い箇所が出るわ出るわ……。これまでいい加減に書いていたことを痛感した。それらを通じて文章を書くことを見つめ直すようにもなり、良い経験になった。少しはレベルアップしたと思う。

 今回は「はじめての小説同人本」ということで手順を並べてみたが、慣れるともっと効率的な方法も分かってくると思う。その時はまた追記するなり記事を書くなりしたい。 

イラスト練習置き場『四月は君の嘘』

模写

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『宮園かをり』

 

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『宮園かをり』

 

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『宮園かをり』

 

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『有馬公生』

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『宮園かをり』

 

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『宮園かをり』

 

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『宮園かをり』

 

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『宮園かをり』

 

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『宮園かをり』

 

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『宮園かをり』

 

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『宮園かをり』

 

※転載禁止

 

種子島『秒速5センチメートル コスモナウト』の旅

秒速5センチメートル 第2話 コスモナウト』の舞台となった種子島に行ってきた。

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これまでにアニメのロケ地巡りは『君の名は。』『言の葉の庭』の新宿区一帯や『月がきれい』の川越などを訪れたが、『秒速5センチメートル』の種子島はいつか行けたらいいよね……と半ば諦めていた。あまりにも遠い(北海道在住)。

でもやっぱり行ってみたい。コスモナウトが大好きなんだ。あの島での貴樹や花苗の息吹を感じとりたい。そこでしか感じられない何かがある気がしてならない。そんな想いが抑えられなくなってどうにもならなくなって、ついに決意した。

仕事、時間、費用……。やれない理由なら簡単にあげることができる。でもそれだと何も変わらない。やる方法を考えようではないか! ってことでいろいろと頭を下げたりお芝居をしたり嘘をついたり(たぶんバレてる)で休みを捻出して種子島への旅を手配することに成功した。やればできる。

旅の概要

種子島への交通

通常の種子島への交通手段は鹿児島からの船か飛行機に限られる。だがそれだと[新千歳ー羽田][羽田ー鹿児島][鹿児島ー種子島]と飛行機2回乗り換えとなり、どれかの便に遅延でも発生しようものなら即終了となりかねない。飛行機の遅延って結構あるのだ。何度泣いたことか。休みたっぷりなら遅延どんと来いスケジュール組めるけどね…。ということで決行は8月に。8月に限ってはJAL[伊丹ー種子島]便が運航されているので新千歳からでも1回の乗り換えで行けるからだ。本当は重要シーンがあった10月に行きたかったのだが、上記の理由により今回は諦めた。まずは島に行くことを優先した。 

旅程

8月27から30日の3泊4日で以下の通り。

  • 1日目 新千歳発ー伊丹着、伊丹発―種子島着、舞台探訪、西之表市宿泊
  • 2日目 舞台探訪、宇宙センター見学、西之表市宿泊
  • 3日目 舞台探訪、島内観光、西之表市宿泊
  • 4日目 舞台探訪、種子島発―伊丹着、梅田徘徊(笑)、伊丹発―新千歳着

3泊4日ということで舞台探訪だけでなく他の観光も無理なく組み込めた。総費用は80,000円ほど。安くはないが日程と飛行機やレンタカーを考えると高いともいえない。[新千歳ー伊丹]に関してはANAマイル使用で別途手配したので本来はもっとかかる。

宿泊 

全日程を通して西之表市のホテル(朝食付き)。種子島は北から西之表市、中種子町南種子町の3市町がある。コスモナウトの舞台は中種子町なので、そこに宿をとれば楽だったかもしれない。とはいえ種子島は北から南まで自動車で2時間もかからないので、どこに宿をとってもそんなに苦労はないと思う。

島内移動

バスがあるが本数が少ないしロケ地探訪をするには絶望的に不便。というよりも辿り着けない場所多し。観光客の大半はレンタカーで移動している。タクシー貸切という方法もあるが料金はどうなんだろうね。

道路事情はあまり良いとは言えない。幹線道路は整備されているが少し入ると狭い道ばかりで、すれ違いすら難しい道も。とりわけコスモナウト巡りの各ポイントは狭い道ばかり。それと道路脇の側溝。茂った草で隠れているトラップ溝があったりで結構怖い。脱輪には気を付けたい。自分は普通車を借りたので気を遣って走ることが多かった。撮影などでの停車なども考慮すると軽自動車がベストだと思う。

交通の流れは実にのんびり。制限速度ジャストで流す車も多い。荒い運転の多くはレンタカーという印象。 路上で寝転がっている猫も結構いるので優しい運転を心掛けたい。

撮影機材

写真は機動力重視でニコンD5600を選択。バリアングル液晶モニターは低アングルや星景撮影で威力を発揮。動体撮影はしないので性能は必要にして十分。レンズはニコンAF-S 18-200mmとシグマ10-20 F3.5 EX DC。10-20は主に星景撮影で使用。三脚はベルボンの安物。自動車移動の走行記録にはコムテックZDR-012を使用。

1日目 

高台、アイSHOP石堂店、増田宇宙通信所前、星原

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種子島空港到着は14時頃。すぐに空港内にあるレンタカー会社カウンターで手続きを行い、空港に着いてから30分もかからずに移動を開始した。ホテルチェックインは16時に予定しているので時間の限り探訪する。

 

コスモナウトと言えば澄田花苗。花苗といえばあの高台だ。風車や町を一望することができる場所。事前に調べた範囲では何箇所か候補地があるようで、とりあえず全て巡ることにする。

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https://goo.gl/maps/PZjTRv5vnNqX5Ptm9

そう、こんな感じだよね。映画ぴったりではないけれど。角度的にはもう少し高所からという感じなので、もう少し移動してみる。

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さっきよりも少し高い位置から望遠ズームしてみる。ここもいいな。映画だと上下に背景が動くので、おそらく異なる角度からの景色を合わせて動かしたのかなと思ったり。別に映画のシーンぴったりの場所である必要はない。そこにシーンを感じることができればいいのだ。ここを花苗の高台とする。しばしの間、ここで風を確認する花苗を想像する。これから起こる何かを予感する彼女の姿を。ちなみにこの日は風が弱く風車は微動だにしなかった(笑)。

 

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https://goo.gl/maps/bSUE2YHGsL7mAfJp9

アイSHOP石堂店。『秒速5センチメートル』のみならず時空を超えて『君の名は。』にも登場。

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店員さんに確認をとると自由に撮って良いとのことだったので店内も何枚か撮らせていただいた。ありがとうございます。

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もちろん買い物もした。ヨーグルッペは絶対に外せないよね。

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ヨーグルッペは下の段にあり映画とは異なるが、そういうものだ。雰囲気を味わうことができたのでそれでいいじゃないか。花苗のようにしゃがんで手に取った。

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店内には巡礼ノートもあり、もちろん書いた。台湾や韓国などからの来訪者も多いようで漢字やハングルの書き込みもある。内容は分からないが夢の地に来ることができたという興奮が伝わってくる。

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ベンチは無くなっていたが、これでいいのだ。この場所の空気を感じながら腰掛けてヨーグルッペを飲む。寄り道してここで語り合う花苗と貴樹を想像する。それが大事なのだ。ただの撮影なんて何も楽しくない。甘酸っぱい青春の味がした。

 

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https://goo.gl/maps/mQzUFd7VSoQym19L9

増田宇宙通信所前。ここは人工衛星の追跡などをするアンテナが設置されている施設で見学することもできる。見学については後日公開する観光編で。

 

ここまで巡ったところでチェックイン時刻が迫ってきたので探訪は中断して西之表市のホテルに向かう。ホテルはいたって普通のビジネスホテルで特に書くことはないが、同じ敷地に大きめのドラッグストアがあったので滞在中は便利だった。地元の個人商店での買い物も旅の楽しみではあるが、よく考えたら土産以外に買うものって飲み物くらいなんだよね。食事は中心街に固まっているので適当に店を選んで食べた。

ひと休みしてから再び探訪へ。コスモナウトは夕暮れから夜にかけてのシーンが多いので、のんびりしていられない。

 

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夕暮れ時の花苗の高台。貴樹が携帯いじってるところに花苗が来る場面だ。美しい。花苗じゃないのになんだか泣きそうになった。

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本来はここで星景撮影をして天の川も入れたかったのだが、かなり強めの月明りがあったので断念。まだチャンスは2日ある。月の入り時刻と雲がうまい具合にかかってくれたら撮れるはず。今日は移動やらで疲れたので探訪はここで切り上げ、早めにホテルに戻る。

 

2日目 

通学路、旧種子島空港、中種子高校、中山海岸、天の川、坂道

朝からコスモナウト探訪。数日前からの予報では雨続きになるはずだったが、有り難い方向に天候は変わり、種子島の夏を感じる日となった。

 

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https://goo.gl/maps/H7UipiDcVF9b3bYb9

中種子町星原。コスモナウトのタイトル画面の次あたりに出てくる道。この少し先に花苗と貴樹が夕暮れに歩く場所がある。

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道の両脇はサトウキビ畑。種子島はサトウキビの島だ。

 

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中種子町野間。種子島はサトウキビ畑サトウキビ畑カライモ畑サトウキビ畑、そして森、海、町、またサトウキビ畑……という印象。コスモナウト巡りと合わせて非日常を強く感じる。

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畑と空、そして海。とても気持ち良い。北海道でも広い田畑に空が広がっている風景は珍しくはない。それでも種子島はまた異なる。南国の太陽の高さと爽やかな風がそう感じさせるのだろうか。

この景色の中を花苗や貴樹はカブで走ったんだ。自動車の窓を開けて空気を感じながら走る。それでもやっぱりこれはバイクじゃないと分からないだろうな。島にはレンタルバイク店もある。次の機会があれば走ってみようと思った。

 

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https://goo.gl/maps/igKmtfH7XVJoQM7u7

種子島空港。島を離れる貴樹を花苗が見送った場所。廃墟と化し草木が茂る滑走路跡に切なさが増す。

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貴樹は何を思って花苗と最後に会ったのか。

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空を見上げると、青過ぎるくらいに青かった。

 

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https://goo.gl/maps/KoPKsWfbEkzJvDB46

中種子町野間。花苗の坂道。貴樹との帰り道、ここをカブで一緒に走った。貴樹を見送ってから花苗は一人でここを走った。この道を貴樹と一緒に走ることはもうない。

ゆっくりと走ってみると花苗の気持ちが少しわかった気がした。

 

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https://goo.gl/maps/Me8LSRNScCNGaFVMA

花苗と貴樹が通っていた中種子高校は南種子高校と合併し種子島中央高校となっている。校舎に記されていた校章も消えている。事務室で申請すると敷地内撮影可能という情報があったが、そこまでするのもどうかと思ったので外観撮影のみ。校門付近からアングルを探しうろうろしていると数名の生徒が横を出入りする(ジャージ姿なので夏休み中の部活生徒か)。不審者ではないよという意味を込め(完全に不審です)会釈すると「こんにちは」と笑顔で挨拶を返してくれた。

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同じ中種子町にあるAコープ駐輪場。手前と奥のバイクはおそらくリトルカブで中央がビーノ。花苗たちの角ライトカブではなかったが、ヘルメットはほぼ同じで嬉しい。通学カブを発見して喜んでいる自分の横を歩いた高校生らしき若者と目が合うと、彼らもまた「こんにちは」と。怪しいよそ者らしき相手にはあえて声をかける云々という話が浮かんだが、たとえそうだとしても素敵なことだ。若者だけでなく高齢の方からも声をかけられることもあり、そこに深い意味などはなく純粋にそういう習慣かもしれない。これまでいろんな地域を訪れたが、とりわけこの島の人たちは全体的に優しいというか温かい気質という印象をもった。それは自分のもつ花苗のイメージに通じるものがある。

放課後に中山海岸まで通う花苗の道順を辿ってみた。意外と早く海まで行ける。

 

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https://goo.gl/maps/qMKyHi4oCeoj3VVMA

中山海岸。高台や坂道と並ぶ花苗の場所。真の花苗のステージでもある。ここは美しいという言葉では足りないくらい完璧に近い場所だった。この日は波がなかったせいかサーファーの姿はなく完全に貸し切り状態。いつまでも眺めていられる。この場所は本当に気に入ったので翌日と最終日にも訪れた。

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『いくつかの台風が通り過ぎ、そのたびに島は少しずつ涼しくなっていた』という台詞と同じく、種子島を訪れる直前に二つの台風が通り過ぎていた。全日程を通してほぼ晴天に恵まれるという幸運にも感謝。

f:id:hanahanaqqq:20180905053145j:plain花苗は波に乗り続けたのだろうか。

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南種子町のロケット発射場の格納庫と避雷鉄塔が望める。波の上からロケットの打ち上げを見上げた日もあったかもしれない。 

 

それから宇宙センターまで一気に南下し宇宙科学館の見学と施設体験ツアーに参加した。その様子は観光編にまとめておく。見学を終え、まだ午後2時くらいだったのでロケ地探訪の続きをと思ったところでカメラバッテリー切れ…。痛恨である。前日のバッテリー減り具合から夜まで余裕だろうと判断していたのだが。予備のバッテリーもない。泣く泣く西之表のホテルに戻り充電することとなった。それでも前日断念した天の川撮影を行うつもりだったので、ここは前向きにとらえ夜に備えての昼寝タイムとした。

 

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https://goo.gl/maps/CjM3tA8eU6Ro2i177

バッテリー充電を終えて再スタート。手始めに現在の種子島空港そばにあるポストへ。One more time, One more chance中で貴樹と花苗が歩く場所だ。道が非常に狭く自動車を停めるスペースが近くにはないので気を遣った。

 

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花苗の高台へ再び。映画では草原だったが、目の前に広がるのはサトウキビ畑。それでも違和感はない。草むらもあるにはあるので、そこに座って夕暮れを過ごそうかとも思ったが虫が多いのでやめておいた(笑)。それに今日の夕方は行かなければならない場所があるのだ。

 

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増田宇宙通信所前。貴樹と歩く花苗が泣いてしまい、そしてロケットの打ち上げを見上げた場所だ。映画では電柱が道両脇にあるので違う場所だという説もあるようだが、大きな問題ではない。電線の流れの先はロケット発射場の方角だし、シーンを感じることができればそこがその場所となる。自動車から離れ、実際にとぼとぼと歩いてみた。交通量はほとんどない。控えめな虫の鳴き声に包まれながら花苗になったつもりで歩く。また悲しい気持ちになった(笑)。同時に貴樹の心境も考えてみる。道はとても長く感じた。

 

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夜の中山海岸。全てを悟った花苗が泣きながら眠った後のコスモナウトエンドロール。種子島で絶対にこの目で確認したかったシーンだ。暗い空にも星は輝く。種子島の空は優しく花苗を見守り続けてくれると感じた。[D5600、シグマ10-20 F3.5 EX DC、シャッター速度8秒、絞りf3.5、ISO4000、焦点距離10㎜]

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この旅は満月に近いタイミングだったので前日同様に撮れないかもと思っていたが、月の入りと雲の位置に助けられて星景撮影は成功した。新月時に撮れるような完璧な星空ではない。街明かりの影響もある。それでも感動で涙が出そうになった。ずっと撮り続けたかったが、月の輝きが増してきたので海岸を後にした。夜の海は怖いので長居したくなかったからでもある(笑)。[D5600、シグマ10-20 F3.5 EX DC、シャッター速度10秒、絞りf3.5、ISO5000、焦点距離10㎜]

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夜の高台。星空の下で語り合う貴樹と花苗を想う。前日は撮れなかったが今夜はなんとかなった。月と町の光が強くて難しかったが天の川も微かに撮ることができた。心の中で紙飛行機を飛ばす。[D5600、シグマ10-20 F3.5 EX DC、シャッター速度8秒、絞りf3.5、ISO3200、焦点距離13㎜]

 

3日目 

中山海岸、野間、中種子町中心部、夕暮れの通学路

訪れたかった場所はだいたい巡ることができたので、この日は種子島観光を中心に動いた。ロケ地巡りといえども、場面に登場する場所以外のさまざまなことを知り感じることはとても大事。そして純粋に観光目的でも種子島は非常に魅力的だ。後日公開する観光編にて改めて紹介したい。

 

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またまた中山海岸。この日も美しい。ここで一日過ごしたいくらいだ。このアングルはコンクリートの波止場上からで、海岸の北東側は河口と小規模な港となっている。 

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現実はこんな感じで写真の左側はコンクリートでがっちりと固められている。港にはゴミも多かった。書かない方がよかったかな(笑)。 それでもここはとても居心地が良い場所に変わりはない。今日も誰もいなかった。 

波の音を聴いていると、花苗がサーフボードを抱えて走って行く姿が浮かんできた。

 

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https://goo.gl/maps/QJ8fn2ry7HqwFm5L8

中種子町野間。コスモナウトのタイトルの場所。他にも候補地があるらしいが、ここに決定。実は花苗の坂道を望む位置から逆方向に振り向くとこうなっている。頑張ってアングルを寄せようと這いつくばるように道路脇の草むらに顔を近付けて動き回った。こんな怪しい動きも人がいないから躊躇いなくすることができる。

 

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https://goo.gl/maps/KumT1BNwYkTBSTtt9

中種子町メインストリート。もっと何もないかと思っていたら、意外といろんな店が揃っている。Aコープやホームセンター、マツキヨなどそれなりの規模の店もあるので生活に不便はあまりなさそうな印象。ガソリンは高い。170円/Lくらい。

 

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https://goo.gl/maps/QQgA7BimocefEEbg6

中種子町星原。2日目の1枚目写真から数十メートル進んだ辺り。ヒグラシの鳴き声を聞きながら二人が歩いた道。映画のような鮮やかな空はなかったが、雰囲気の良い夕暮れだった。 

虫たちの鳴き声など雰囲気が伝わるように動画にしてみた。二人の心情が伝わってくる気がしませんか? ああ、切ない。

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同じ場所での夕陽。あまりにも綺麗でびっくりした。

 

このあと中種子町の花苗の家とされる場所へ向かったが、ここは完全に民家なので撮影せず。立ち止まらずに通過するだけにした。大人になったカブがいたような。

 

4日目 

花苗の高台、中山海岸

最終日。チェックアウトしてからレンタカーを返却し飛行機に乗るまで時間に余裕があるので無理ない範囲でコスモナウト探訪。よく飽きないよね笑。

 

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いつもの高台。海の方向に雨雲が。ここまでずっと晴れが続くと雨も味わってみたいので雲に向って出発。さようなら高台。また来るよ。

 

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しつこいくらいに中山海岸。高台と中山海岸には毎日来たような気がするけど合ってるかな? 予想通り雨が降っていたけど完全に雲は覆ってなくて何となく拍子抜け。贅沢だよね。それでも少しは薄暗いので波に乗れなくて立ちすくむ花苗の姿がイメージできる。振り返ってみると心から楽しそうにしている花苗って波に乗れた時くらいなんだよね。切なかったり悲しい場所を喜んで巡るというのは如何なものか、と少し思ったり。花苗ちゃんごめん。

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そうこうしていると雲は流れて晴れ渡り、ほどなくしてカブがやって来た。ちょうど花苗もこの辺にカブを停めたんだよなと思っているともう一台。デートなのか海岸研究調査なのか。良い雰囲気を漂わせつつ歩いて行く二人の若者が眩しく、そして猛烈に羨ましいと思った。カブに乗り中山海岸で異性と歩くなど、この島にいなければ夢に思うことすらできないのだ。このシーンを旅の最後に目にすることができて本当に良かった。そしてこの二人のように花苗には貴樹と歩かせてあげたいと思いながら海岸を後にした。 

 

これで種子島のコスモナウト探訪の旅は終わり。とても充実した4日間だった。種子島は素晴らしい島だ。コスモナウト巡りだけでも景色の素晴らしさに感動しかなかった。観光編では種子島の名所や宇宙センター見学ツアーのことなども記事にする予定。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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いつかまた必ず。さようなら種子島

 

おまけ(宣伝)

Pixivで『秒速5センチメートル コスモナウト』の二次創作やってます。映画本編後の貴樹と花苗の物語。完結していないので読んでねとは言えないんだけど、とりあえずこんなのもやってますということで。

www.pixiv.net

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『君の膵臓をたべたい』を読んで観て感じたこと

ついに劇場アニメが公開された。初日の初回に観てきた。

まずはじめに。この作品は間違いなく『君の膵臓をたべたい』だった。

映画という性質上、原作そのままにならないのは当然として、それでも真摯に誠実に映像化している作品だった。とても良かったよ。

 

 アニメを観たことで原作小説、コミカライズ、実写映画と合わせ全ての『君の膵臓をたべたい』を体験することができた。ということで劇場アニメに限らず全ての『君の膵臓をたべたい』で感じたことなどを思うままに書く。遠慮なくネタバレするし、称賛だけではなく納得していないことも書く。ところどころ小説やコミカライズ、映画の話題に飛ぶのでご注意を。あと読みやすい文章は意識しないのであしからず(開き直り)。

 

実は『君の膵臓をたべたい』原作小説を読んだのはごく最近で、劇場アニメ公開の約一ヶ月前。以前から存在は知っていたけど、薄命美少女と平凡男子の物語というのは普遍的ともいえる題材で今更感があったのと『膵臓をたべたい』というタイトルに忌避感があって無視していた笑。インパクト重視なタイトルで釣る本も多いしね。

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劇場アニメの公開が近付き、ネットやTwitterなどで情報を目にする機会も増えてくると、徐々に「これはもしかしたら凄いものなのでは?」と感じるように。凄い凄いっていう声が大きいからさ。
最終的に後押しになったのは予告編動画にある台詞だった。

『誰かと心を通わせること。そのものを指して生きるって言うんじゃないかな』

なんですかこれは。

もしかしたらこの物語は引き裂かれる恋の悲哀とか単純なお涙頂戴とは違うのではないか? と。すぐに原作を購入し読んだ。泣いた(笑)

膵臓の設定への疑問などから序盤はいまひとつだったが、気が付くと二人の世界に引き込まれていた。桜良を知るほどに活き活きと人間らしくなる「僕」、それに呼応するように生きる姿が輝きを増す桜良。設定に現実味がどうのなど、もはやどうでもいい笑。

徐々に近付いて行く二人がどうなるのかドキドキしながらページを進めたが、それは同時に桜良の死が近付くことでもあり……。二人に感情移入するにつれ、訪れる日のことを思うと中盤は読み進めるのがしんどかった。

 

そして入院してからの二人に大きく感情を揺さぶられた。

ずっと近くに死を感じ不安に押し潰されそうな時に病床に現れた春樹に、彼女はどれほど勇気付けられただろう。後に遺書によって明らかになる場面と重ねることで込み上げてくるものが増幅される。

一度きりの「真実と挑戦」。そこで語った桜良の言葉。残り僅かな時間を精一杯、人と接し関わることを選択し続ける桜良。その心からの声に触れ、人と接し関わることを選択する道に、まさに一歩踏み出そうと動き始める春樹の心。

『誰かと心を通わせること。そのものを指して生きる』

心を通わせるということは、言葉でいうほど簡単なことではない。それでも、この二人にとっては全く曇りのない真実の言葉だった。この時にはもう二人は心が通い合っていた。強く輝いて生きていた。

共病文庫の遺書と併せ、この場面は本当にこの物語の本質が込められているのではないだろうか。

それは作中アイテムとして登場する『星の王子さま』に通じている。王子さまは地球にやって来て出逢いと別れを繰り返して最後はまた星に還っていくのだが、その出逢いの中で多くの大切なことを贈られ、自身もまた大切なものを贈っていく。

星の王子さま』で多く語られる場面がある。キツネとの出会いと別れを通して、自分の星のたったひとつのバラへの想いに気付く場面だ。ありふれたバラも、たったひとつのバラになる。ありふれたキツネも特別なキツネになる。ただの金色の麦畑も、それをみることで金色の髪の王子さまを思い出すことができる。絆を結んだものは特別な存在になる。

 

原作者の住野よる先生は『星の王子さま』を作中アイテムとして使うにあたり、本の内容を強く意識していたと思う。王子さまをはじめとしてキツネやバラなどの登場人物の発言は、桜良の言動にいろいろと反映されている印象がある。

その最たるものがキツネが王子さまに贈った言葉『ものごとは心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは目に見えない』なのだと。

だから彼女は早くから春樹の持っているものを感じ、仲良くなろうとした。自分にはないもの、目に見えないものを心で見ようとした。だから春樹は懐いた(笑)のではないかと。

 死を目前にして、生きることについてあそこまで言うことができる桜良は何て人なんだ。そしてそれを言わしめた春樹も凄いよ。 

『君の膵臓をたべたい』はラストへ至る共病文庫を読む場面が物語の最高潮なのかもしれないが(もちろんそこも号泣)、自分としては入院時の桜良と「僕」のやりとりが本当に良かった。とても沁みるんだ。

だからこそ、この入院時のいろんなやり取りはもっと丁寧にじっくりと観たかったんだよね。映画の花火演出も素敵だとは思うんだけど、病室で静かながらも熱く……というのが個人的には好きでした。

 

春樹が共病文庫を読むシーンは、いろんなことを振り返りながら読み、観ることになる。涙なしにはいられない流れだ。感情のピークが続く。

アニメではこのシーンがなんと『星の王子さま』ならぬ『星のお姫さま』ワールドになっててびっくり。個人的には世界観がいきなり飛んでしまい「えぇ…」て感じで戸惑ったが、そこは好みの問題なので。かわいらしくて良かったとも言えるよね。

そこに『星の王子さま』を持ってきたことを否定するつもりはない。いやむしろ我が意を得たりとまではいかないが、やはり『星の王子さま』が重要な位置を占めている物語なんだと確認できて良かったと思えた。ただ、びっくりしただけなのさ……。

ちなみに『たいせつな贈り物』という恭子メインの二次創作を書いたのだが、ここにも『星の王子さま』は重要なものとして扱っている。春樹と恭子が友達になる過程を書いたお話なので、よければ読んでみてね(宣伝)。www.pixiv.net

 

話を戻そう。この場面の描写はコミカライズの表現がとても好き。このブログはネタバレありなので遠慮なく書くが、共病文庫の最後、春樹への遺書のシーン。遺書というモノローグでもあるんだけど、まるで桜良と春樹が対話しているように描かれている。もちろん会話形式ではないんだけど、まるで二人で話しているかのようで。きちんとしたお別れができなかった二人が、この表現でとても救われたような気持ちになって大号泣だったのだ。本当に素晴らしい。騙されたと思ってコミカライズを買って読んでみて。

桐原いづみ先生はすごい!

  

『恋とか、友情とか、そういうのではないよね』

住野よる先生は恋愛小説を書いたことはないと発言されている。その通りだと思う。この物語は恋愛物語ではない。友情物語でもない。

人が人に憧れ、欠けているものに気付く。成長し心を通わせ、互いを必要とする。失っても乗り越える。前を向いて歩く。そう選択することの素晴らしさが根底にある物語ではないだろうか。そしてその全てを含んだ先にある愛の物語なのだとも思う。恋愛脳の愛ではないよ。この辺りの語彙力がないので、全体を通して書いていることで汲み取っていただきたい。

春樹に恋しているという表現が共病文庫にはあったので、桜良には春樹への異性としての好意はもちろんあっただろう。ただそれにおさまらない、もっと大きく深いところでの繋がりが圧倒的だったというところか。上にも書いたように、心を通わせるということは本当に凄いことなのだから。並の恋愛なら心通ってなくてもできちゃうからね(偏見)。

もっとも、余命からの徹底した恋愛感情への抑制が桜良にはあったとも思える(委員長とちょっと前まで付き合ってたけどそれはノーカンで笑)。書き遺しているように時間があまりにも残されていなかったから。春樹のことを考えて、そっち方向への気持ちは抑えたというのが自然かもしれない。桜良にとって春樹は付き合うとかそんな段階を遥かに超越した大きく大切な存在だったのだろう。

それでも体温を感じるためのハグシーンには心温まると同時に締め付けられるような切なさも感じてしまう。彼女のいろんな想いが込められた行動なのだから(その中に恋心も含まれたのでは)。

恋や友情ではないという桜良の言葉の裏に、やっぱり別の想いが隠されていたと思ってしまうのだ。

恋していると何度も感じていた。それでも恋人になるつもりはなかった。それは確かめる時間が無いから。共病文庫に書かれていたこの部分で、とても切ない気持ちになった。

人として、自分が自分であると感じさせてくれた偉大な存在である春樹。その彼が必要としてくれているだけで桜良は心から幸せを感じることができた。

それでも――。

どうですか?

もし自分がその立場だったなら。

自分には桜良の必死さ、あまりにも切ない自己抑制を感じずにはいられない。

春樹が見舞いから帰ったあと、どんな思いでいただろうか。幸せだけだったろうか。ベッドで抱き合い体温を感じた後、一人残った病室でどれほどの寒さを感じただろうか。育むことを許されない想いを、彼女は必死に抑えていたんじゃないだろうか。そんなことを最後の遺書の端々に感じてしまうのだ。

もちろん嘘は書いていないだろう。春樹との心の結び付きを感じ、それに無上の喜びを感じる。そのことは揺るがない。とても素晴らしいことだ。

でも……。

そんな自分の思いは一年後、春樹の墓前での独白で救われた。

『もし、僕の本当の初恋の人みたいな女の子がまた現れたなら』

言うじゃねえか春樹! いいぞ! 

心が通じていたのだから当然なんだけどね。ただこの初恋というものがまた微妙な言葉で、恋人関係の相手に向ける気持ちとはちょっと違うんだよね(劇場特典小説にも書いているように)。本当にこの二人の関係にぴったりの言葉を探すのは難しい。

そもそも人と人の心の繋がりよりも恋愛が軽いなんてことはないわけで、どちらが優れているという性質のものでもない。人間愛の中には恋愛も含まれる。

彼らは本当に大きな愛、全てを含んだ愛、目に見えないたいせつなことを掴んでいたのではないだろうか。

 

たいせつなこと、見えていますか?

私は……どうだろう? 

ちょっと自信ないな。

それを探しに、また『君の膵臓をたべたい』を読もう! 観よう!