はなきうスペース

作品感想や舞台探訪、二次創作関連など

『アイの歌声を聴かせて』のツッコミどころを考える

『アイの歌声を聴かせて』はすばらしいよね。心に残り続ける名作で殿堂入り。
それなのに琴線に触れなかった人はどうしてだろう……ということを考えていたら思いのほか浮かんだので、せっかくなのでまとめてみた。ついでになぜ自分はそうならなかったのかも。拗れてるねえ笑。
考えるまで気にしなかったことなので無理矢理感と的外れな内容かもということをお断りしておく。
ということで【閲覧注意】ではないけれど気分害する人がいたら悪いのでやっぱり注意。もちろんネタバレ。めんどくさい専門知識うんちくはないのでご安心を。

 

美津子
マッドサイエンティスト気質で法律グレー上等、学校に無断でAI潜入実験はヤバ過ぎるでしょ問題。同僚パス拝借システムハックに至ってはガチ犯罪では問題。自分は実験を秘密にしていたのに娘が言わなかったのを咎めた問題。
結構あるな笑。美津子への共感は実は私もあまりない。サトミに怒りをぶつけたのは泥酔かつ冷静ではなかったとはいえちょっとねえ…。でも天才研究者ならそんなもんでしょと自然に受け入れたので特に引っかかることはなかった。問題なし!

 

サトミ
喫煙告げ口でそこまで孤立するか問題。
運動部がヒエラルキー頂点という田舎あるあるとはいえ。それに「姫」なので一目は置かれているのは確かだよね。強き存在。孤立というより孤高。ちなみに私が同級生だったら普通に賛同してもっと事を荒立てるまである笑。
孤立していたのはトウマとのトラウマから人付き合いに臆病になってしまったからなんだよきっと。でもシオンのメモリーには友達っぽい子と仲良くしてるのもあったような……。気のせいかな。問題なし!

 

シオン
バス停で野見山の車が接近した時に感知してるはずなのにスルー問題。
人間なら視界外のバスケットボール対処からすると当然分かってたよね。なぜ反応しなかったのか。このシチュエーションでの判断はプログラムになかったのと、優先順位(サトミ幸せ>トウマの指示>ラボに帰る)といったところか。
放課後ラボに帰らなきゃなのに皆でメガソーラーショータイム問題。
これも車の件と同様にシオンとしては命令の優先順位からの行動(サトミの幸せが第一)なんだろうけど、友達サイドが誰も止めなかったのはちょっと疑問だった。シオンに押し切られたにしても。
これは小説版で納得できる説明がある。本編のことは本編のみで判断すべき派なのでノベライズを根拠にするのは不本意なんだけど、実際そうだよなあウンウンそれしかない!と思えるのでOKなんです。楽しめるなら躊躇せずケースバイケース。話は逸れるが小説版はとても良いので必ず読むように。シオンの謎やトウマの思考など読み応えあり。
元々組み込まれてたAIはどうなった問題。
シオンに上書き消去されたならちょっとこわいかも。普通に協力関係なのか合体したのか。これは考察勢の喧々諤々ネタだろうからその人たちにお任せ。というかどうでもいい。シオンにはつっこみ無用なの! この作品の根幹部分ですよ? そこは受け入れないと。本当に。問題なし!

 

トウマ
天才だけど実は結構運任せ問題。
Macリスペクト?ゴミ箱風外付けHDDはコードで繋がってたし回収されなかったのはなぜなのか。おそらくこれは星間回収担当員の良心だね。西城のやり方に内心反発しAIラボ応援していたとか。そうとしか思えん。名もなき社員がHDD内のシオンの記憶に触れ、心震わせて部室に戻した…とかいう二次創作妄想が笑。
巨大宇宙送受信機にそんなコード一本で接続できたのか問題。USB的なオールマイティ接続端子が備わってるんですよあの世界では。とにかくある意味天才なトウマのやることは問題なし!

 

野見山
全ての黒幕はこいつなのでは問題。
これはちょっと思ってたんだよね。冒頭の美津子との会話、シオン起動時の表情(詩音の記憶のやつね)が怪しさ満点。たまごっち型AI消去……と見せかけてネットに繋げてAIを逃がし、ひそかに育成していた!とか。ないか笑。西城に協力していると見せかけて内心はシオンの暴走を楽しんでいたとか。ないか。
夜の駐車場で何やってるの問題。
問題なし! というよりも哀し過ぎるだろ……。いや待てよ、もしかして美津子の動きを察知して張っていた? やべえ。とかなんとか。
野見山は想像する余地が最もあるキャラクターかも。

 

西城
どう見てもこの人が正しいでしょ問題。
おっしゃる通り。ごもっとも。
だからこそちょっと物足りなさを感じてしまった部分ではある。嫉妬にかられて失敗待ちの足引っ張りとか小者で悪役としてどうなのとも。もっとこうヒール突き詰めるか、あるいは「AI暴走やべえ会社の社会の危機だ止めねば!」な感じが個人的には好み。でもしかしそれだと西城が目立って主人公たちが薄れてしまう(そして行動のヤバさで引いてしまう恐れも笑)ので、やはり本作の塩梅がちょうど良かったのだと思う。
それにロボットやAI危険視という現実問題をエンターテインメントで欲しい? わざわざみたい? そういうのは欧米SFでお腹いっぱい(偏見)。
ということで西城もあれくらいの程よい邪魔者で良かったのです。はい問題なし!

 

やっぱりツッコミにも反論にもなってないね笑。だってつっこむ気になんてならなかった稀有な作品だったから。矛盾と感じないほどに入り込める。これってすごいことだと思いませんか?
それに全ての描写や行動に綻びがないものが観たいなら嘘だらけの映画なんて最初からみないほうがいい(極論)。
もちろん感動というものは共感あってこそだから、共感ポイントがズレていると入り込めない。それは仕方ないよね。普通のこと。ただアイうたにおいて感性の違いから共感できなかったというのは心から残念に思うよ。本当に。
例えば親子愛などをテーマにしながら一切の説明描写の流れも想像の余地もなくサクッと別れたり捨てるシーンがある作品があるとしたら私も共感できないし(あくまで例えですよ?)。

最後に余計なことを言ってしまった感もあるとかないとかだが、『アイの歌声を聴かせて』につっこみどころなどなかったね! というのが結論になるのかなー。

観たら幸せになる。それで良し!